デジタルのピーク

デジタルと名のつくものには宿命があります。

音量にピークがくると音に成らないノイズを発生させます。アナログだと歪みがあっても音色が歪みますが、余程のオーバーでなければ音楽を壊す程ではありません。確かにデジタルは歪まないように小さなレベルでもノイズはほとんど感じません。じゃ問題ないかというと、音色はある程度のゲインがあって張りのある音色だからこそ人の耳に気持ちよく響くのです。つまりデジタルになってもやはりある程度のゲイン、歪みがある事が小さな音でも”かっこよい”とおもわせる所以なのです。

デジタルの一番苦手な部分が実は音色の一番大事な部分を”便利””共通のフォーマット”の為に失ったわけです。

デジタルに最終的に落ち着く前にいかにアナログなアプローチを絶やさないかがこれからのデジタルを作る要素になると私は考えて今のシステムを作りました。今のシステムが10年後の常識に成る事を目指してデジタルとアナログの融合を目指していきます。

パワー

全ての機材にパワーを追求するとします。ハイパワーのPUにハイパワーのケーブル、ハイパワーのスピーカーケーブルに、マーシャルやレクチのリードチャンネルまでいくと音色をコントロールするのが難しくなっていきます。プレイするのが、パワーコードオンリーならまだ難しい音色を操る可能性はありますが、その上単音リフやsoloまでコントロールするのは至難の技です。

そもそもパワフルに歪みきっている音色をsoloの為に音量をあげるにはボリュームコントロールかブースターで上げるしかありません。飽和しきった歪みの音色のままボリュームをあげるととたんに音程感がなくなったり逆にか細くきこえる所が出てきます。所謂デットポイントです。パワーコードでは気にならなかった事が単音では如実に現れています。

バッキングとリフオンリーだと成立した事も単音だとかえってパワーを失いかねません。バッキングの時にいかに歪みを押さえて単音に芯をだすか、逆に単音は歪みを押さえて音抜けを追求するか、難しい選択ですよね。

アコースティックギターって

アコースティックギターは基本的にはピックアップのないギターを全般的に呼ぶ名前です。ですから、ジャズ用のピックギター、フォークギター、ガットギターも全てアコースティックと呼ばれます。昔はカントーリーやブルーグラス等でマイクのみでPAにとうしていたのですが、他の電子楽器やPAの大音量化のため様々な集音方法が考えられてきました。

最初はビートルズで有名になったギブソンJ160Eのようなマグネットピックアップを取り付けたタイプ。いまはサウンドホールにはさみこんで本体を傷つけないタイプが主流です。マグネットタイプは音が太くどっしりとした低域を再現するため、ストロークに適しています。高音は柔らいのでフィンガーピッキングでは華やかさではものたりないかもしれません。

オーベーションで一躍有名になったのは圧電PUのピエゾタイプです。このPUは高音の美しさが特徴でエフェクターの伸びも素晴らしくロックバンドやドラムサウンドの中でも埋もれない特徴があります。高音の抜けは素晴らしいのですが低音はなかなか拾えません。ちなみにピエゾはガットのナイロン弦も三味線のような和楽器や民族楽器にも取り付け可能なのが長所です。また最近のエレアコは全てピエゾの内蔵が主流のようですね。

最近ではピエゾとサウンドホールの中に小さなコンデンサーマイクをいれて混ぜることによりラインとエアー感の両方を手にいれようとするタイプも出て来ています。

やはりマイクだけでは相当な環境の良さとプレイヤーとギターの楽器の質といった要素が全て揃って実現できるようなんで色々なpuの組み合わせとマイクのブレンドを考えてみれば理想のアコギサウンドがライブで実現すると思います。

高価でなくても組み合わせはできますのでオーナーマドコロまで相談してくださいね。

音の大きさ

楽器のうまい人は、おしなべて音が大きい人が多いのです。この場合は音量が大きいのはではなく、音圧のようです。音量はただうるさく感じてしまうだけですが、音圧があると気持ちの良い周波数が発生する事によりうるさく感じないのです。典型的な例がオーケストラでしょう。生の演奏をホールで聴くとその音圧で風圧まで感じる程です。全ての楽器がうまく配置する事により大きな音でも素晴らしい音響となりえます。

ドラムも音量と音圧の差がわかりやすい楽器でしょう。うまい人がたたくと音が大きくても身体に振動を感じる程鳴っている感覚が伝わってきます。楽器の鳴らし方は力任せに弾くだけではなく力みを抜いてムチをふるうように弦やヘッドにエネルギーを与えれば気持ちの良い周波数がきっと出音に現れる事になるでしょう。

岐路

音楽を続けていくにしたがって節目、節目でおもいきった方向転換や今までの活動をいちからやり直さなければいけない時がきます。本来、人は変化には慎重になってしまうものです。未知のものにはだれでも心を構えてしまうのは当然ですよね。出来れば現状の中で解決すしようとしますよね。でもこと音楽を作っていく上では新しい事に挑戦していかなければ新しい道がみえてきません。新しい事に挑戦すれば輝く未来を迎えるのではなく今までの自分の常識との戦いになってしまいます。そうすれば圧倒的にうまくいかなくなり悩みが深くなり新しい一歩を踏み出した事に後悔してしまうのです。

例えば、工場やシステム設計に関わった事のある方には想像つくと思いますが、新しい挑戦、新しい技術、新しい機材には様々なトラブルが連続して当然おきます。なかにはヒューマンエラーもおきてしまいます。

それでも前に進んでいく事しか新しい音楽の世界にはたどりつけないようです。よく昔教えを問うた先生にいわれた言葉を大事にしています。”迷うくらいなら前に進んで始めてしまいなさい。例え失敗しても音楽を学ぶ上で損になる事は一つもないのだから。”

 

 

ゲインとボリューム

ギターアンプにあるゲインとボリューム、はてはマスターと音量に関わるものが幾つもある場合があります。簡単に説明すると、ゲインは歪みの音圧、ボリュームは音量、マスターは全体の音量を指す事になります。ゲインとボリューム、マスター3つある場合、ゲインで歪み具合を創り、ボリュームで音量を決めます。何故マスターがあるかと言うと3つのボリュームがある場合は複数チャンネルのほうが多いので各チャンネルを統括するボリュームを作るという発想です。また複数チャンネルを利用しない場合でも、激しく歪んだ音色を小さなボリュームでコントロールしたり出来る利点もあります。またボリュームには必ずオペアンプと云われるものがありそのキャラクターで音色を変える事によりそのアンプの個性が決まります。

少し難しい話しでしたが、それが解り易いのがコンパクトエフェクターでのオーバードライブやブースターです。エフェクターで歪みを作る場合は音色が簡単に手に入るのですが、音圧まで手に入りません。エフェクターで音色を作った場合はアンプは音圧と音量に絞って音色をつくるのが肝心です。

失敗

たくさんの録音やライブを通して、失敗を繰り返していきます。失敗には技術が足りないから起こる事と出来るのに心が整わない事が理由の事があります。自信が無い時にはどうしたらよいでしょう?って良く質問されます。

答えは一つしかありません。やっぱり練習なんです。練習を沢山していれば何度も失敗していきます。何度も失敗していくうちに色んな方法を考えていきます。それが何の為に失敗しているのかの原因を少しずつ教えてくれるのです。そうして続けていくうちに身体だけが反応して勝手に指が動いて無意識に弾いている瞬間がきます。

一人のパート練習だけじゃなく、バンド練習でもライブを想定した時間配分で練習していくのが大事なポイントです。サイズも頭が迷っても指が勝手に演奏しだした瞬間から良い演奏ができる扉を開く事になるはずです。

スランプ

ギターや楽器を弾いていていまいちリズムに乗り切れなくなっている、指がいつものようには動いてくれない、なんて症状はよくある事ですよね。また体調や精神状態でもそれが影響する事もありますよね。そんな時暫くの間は休息をとったら、昔ギターの教室で教わった運指練習、リズム練習を繰り返し行います。しかもかなり遅い(♩=80)テンポでゆっくりと。

速弾きの練習でよく相談されるんですが、フレーズを始めはなんどでもゆっくり弾きこんで指に運指の形を憶え込ませるのが重要なんです。始めから速いテンポで練習すると崩れた形のまま指が動くので少しでもテンポが変化すると指がついていってくれなくなるのです。

調子悪くなれば運指とリズム練習を欠かさずにやっていれば少しずつ取り戻せていきでしょう。

原点

金曜日にいつもの仲間と京都メトロでクラブイベント”I WANTS YOU”に参加してきました。ライブの前にはアーティストとのレクチャーセミナーも開催され、音楽や制作にたいしての熱い議論がなされた後、DJからイベントがスタートしました。DJ,ラップトップのライブの中、半野喜弘率いる”RADIQ”にギタリストとして参加しました。クリックなしでラップトップのビート感だけをたよりにカッティングを中心にプレイしています。HIP HOPの創世記からDJや打ち込みのアーティストと関わってきましたが、デジタル技術の発達で気軽に制作が可能になった今こそ、アーティストの感性やエネルギーが全てだと彼等の演奏を聴いて思い知らされます。

セミナーの中でもふれらえていたのですが、音楽の聞き方がイヤフォンを中心になった結果スピーカーの振動やうねりを感じる事がなくなって本当の音のエネルギーを感じられなくなっているのが現実ですよね。家にいてもスピーカーで聴かずにいるとイヤフォンや小さなPCの音だけの情報で音楽を聴いているのが現状ですよね。ライブの機材も便利な事を中心にデジタル機械に変わっていくなか、本当の音色や音圧を身体に振動として感じてこそ魅力が伝わるこのイベントは私にとっても音楽の原点を感じる大切なイベントなんです。

 

HP:  http://i-want-you.jp/contents/category/whats-i-want-you